ビル・エヴァンス『Bill Evans at Town Hall Volume One』

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先週聴いた『I Will Say Goodbye』は本当に美しくてその後も何度も聴いていますが、そこから11年遡ってこちらは66年にニューヨークのタウンホールで行われた公演を記録した作品。Vol.1とタイトルにありますが、Vol.2が存在しないという作品です。

 

ベースはチャック・イスラエルの時代。楽曲構成にもよりますが、若干ビル・エヴァンスのソロ色が濃いような印象を受けました。2週間前に亡くなった父親に捧げるソロ演奏が収められている影響もありますが、本編の方はトリオの演奏が左程目立たないように感じます。少し静かめの選曲なのかもしれません。

 

一方、ボーナストラックの方は比較的トリオの演奏らしい局面が見受けられます。ビル・エヴァンスの演奏を聴いていて結構好きなのはドラム・ソロとの掛け合いの中でビル・エヴァンスの短いピアノ・フレーズのブレイクが入るパートなんですが、ここでも「Beautiful Love」と「One For Helen」でその展開が味わえます。短い中で閃きのように音を奏でる。そのブレイクの仕方が結構独特なので、センスが爆発していて好きなんですね。

 

しかし、ほとんど作品に外れがない。ビル・エヴァンスは素晴らしいです。