77年録音のこの作品は『I Will Say Goodbye』と並んで後期ビル・エヴァンスの名作とされていましたので、ずっと聴きたいと思っていました。今回やっと手にすることができましたが、内容は、とにかく美しい。
亡くなった恋人や兄への追悼の曲が2曲も収められているので、印象的にシリアスになるかと思いきや、これが徹底的に透明感があって美しい。悲しみの感情が美に昇華されるなんて、何と素晴らしいことか。
そして本編ラストの「Theme From MASH」の明るい調べに救われる感じ。この構成やピアノの音の響きは頂点を極めていると思います。
ボーナストラックが比較的元気のいい演奏でまとめられているのも良いバランスで、全編通して心地良く聴ける作品でした。