XTC『The Big Express』

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84年リリースの7作目。このアルバムもよく聴きましたが、やはり今ひとつ煩めなのと、硬質な音の質感が若干耳を遠ざけたことは否めません。それでもやっぱりこの時期のXTCは神がかっているので全てが名作。冒頭の「Wake Up」からして音の仕掛けを施して聴き手を翻弄してくれます。基本的にはXTCメンバーの故郷の街スウィンドンのことを歌ったアルバム。鉄道の街なんですね。

 

一番好きなのは「I Bought Myself A Liarbird」という曲。こうした小品が自分はどうしても好きなんですが、本当に恍惚感一杯の一瞬で終わってしまう曲で、まさにマジック。何度も言いますが本当にアンディ・パートリッジという人は天才だと思います。

 

ボーナストラックでは「Red Brick Dream」という弾き語りのような、夢の中で歌われているような作品が極上です。この頃はアナログの12インチシングルのB面にこうした未発表曲が収められていました。血眼でレコード屋を探したもんです。

 

この作品と『Mummer』『English Settlement』の3枚の作品はマスターテープが見つかっていないそうで、スティーヴン・ウィルソンのリミックスによる再発が出来ずにいるようです。これは非常に残念。探すのにもお金がかかるので、経済的な問題もありそうですが、いつの日か日の目を見てほしい。フランク・ザッパなんかでもよくあるケースですが、これは長い時間がかかりそうです。気長に待つしかなさそうですね。