XTC『Wasp Star (Apple Venus Vol.2)』

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2000年にリリースされた今のところXTCの最新作にしてラスト・アルバム。ここからもう20年以上経っているなんて信じられません。

 

前作が『Apple Venus』のアコースティック・サイドだとすると、こちらはエレクトリック・サイド。元々は2枚組でリリースされる予定だったものが2枚に分割されました。ここで出てきたのはギターが快調に鳴り響くポップスで、ここにはかつてXTCに期待した音が鳴っている。この地点に戻ってきてくれたことに当時は感謝していました。

 

しかし、ここにはもうデイヴ・グレゴリーはいないし、ライブ活動をやめているので箱庭感はどうしても拭えない。かつてムーンライダーズがライブで息を吹き返したように、ある一定のプレーヤーとしての現役感覚復活による効果がバンドには見込めるんですが、XTCにそれを求めるのは野暮というもんでしょう。

 

やっぱりアンディ・パートリッジの曲がとっても良くて、連続畳み掛けの楽曲群が耳を責めてくる瞬間が何度も味わえます。冒頭の「Playground」「Stupidly Happy」もそうだし、未発表曲の中で正規版で録音するのを待ち望んでいた「I'm The Man Who Murdered Love」から「We're All Light」へのつながり、更に後半には「You And The Clouds Will Still Be Beautiful」から「Church of Women」へと繋がる流れ。完璧ですよね。

 

『Nonsuch』での「Wrapped In Grey」「Rook」といった静かな楽曲から『Apple Venus Vol.1』に発展していく展開に、アンディ・パートリッジの興味の対象が通常のポップスから離れていったように感じていた中でのこの原点回帰的なギター・ポップスへの帰還は、今後のXTCへのささやかな期待感を煽るのに充分な要素を持っていた。しかしそれは現在のところ叶ってはいません。

 

メンバーは全員まだ健在だし、昨今はそれぞれ音楽活動もまた活発になっているので、後は心理面のハードルだけ。しかしここを乗り越えるのは難しいんだろうなあ。一縷の望みを心に秘めつつ、残してくれた作品を味わうことにするしかないのでしょう。そんな感じかな。