ジャパン『Live In London 1981』

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最近は坂本龍一サウンドストリートをずっと聞き返しているんですが、丁度始まったのが81年の4月から、ということでジャパンの話がよく出てきます。

 

その中で『孤独の影』に入っている「Taking Islands In Africa」という曲について、まずデヴィッド・シルヴィアンから「タイトルだけ決まっている」と言われて曲を作った、という話が出てきて、凄いなあ、と感心していました。

 

本作は81年の2月にロンドンのハマースミス・オデオンで行われたコンサートの模様を収録したものです。時期的には『孤独の影』リリースから3ヶ月後。音もそこそこ良くて、演奏もいいですね。この頃にはもう本国でも人気が出てきていて、デビュー当初の日本だけで人気のある色物バンドという位置付けから抜け出しつつあったことを感じさせます。ピーター・バラカンもプロモーションの関係から『孤独の影』を聴いて見直した、みたいな発言を過去にしていました。

 

『孤独の影』は名曲揃いだと思うんですが、中でも比較的地味な「My New Career」や「Ain't That Peculiar」といった曲が美しくて、このライブでもキッチリ演奏してくれているのが嬉しいところです。先程触れた「Taking Islands In Africa」も演奏されています。

 

ジャパンは「Life In Tokyo」でのジョルジオ・モルダーとの邂逅から一皮剥けていった訳ですが、活動期間が短くてピークに達して早々に分解してしまったのが惜しまれるところです。しかしこの頃の活動は日本のYMO界隈と完全にリンクしていて、ドキュメンタリーとしても面白いし、音楽もいい。80年台初頭を一気に駆け抜けていった時代の痕跡が残っている音源の一つとして本作も楽しめるものだと思います。

 

最後の「Europian Son」も非常に艶っぽくていいですね。演奏も上手い。肉感的でかつ耽美なダンス・ミュージックという感じがします。