プリンス『Sign O' The Times (Super Deluxe Edition) 』disc 4

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プリンスのこのデラックス・エディションも大分迷って手を出さなかった作品です。配信で聴けて非常に嬉しい。レコードコレクターズを片手に聴いていますが、このボックスの本質は4枚目からなので、まずはこの発掘音源集から。

 

ピーター・バラカンのラジオ番組で内容が紹介されていて、その楽曲の余りのクオリティにとても困惑したのを思い出します。これらを未発表にするのは余りにも勿体無い。しかしながら、自分はオリジナルの『Sign O' The Times』のペナペナした音が余り好みではなくて、何となく薄っぺらいように聴こえていたので、本作を最高傑作とする意見には同意できずにいました。今でもその感覚は変わりません。

 

それにしてもこの圧倒的な未発表曲の数は恐ろしいほど。当時レヴォリューションの解散時期と重なっているとはいえ、この量産具合は尋常ではないし、この辺りのワーカホリックぶりが天才と称される所以だったりもするんですが、ミュージシャンは一時期はこうした状態になる局面もあるので、それがプリンスの場合は持続したということ。これはフランク・ザッパもそうだったと思います。だから夭折する。

 

全部が全部すごい訳ではないし、話題のマイルス・デイヴィスとのコラボレーション曲も意外とあっさりしていたりしてなかなか素人の耳を寄せ付けませんが、プリンス印なのは間違いない。たまたま自分はもう少し厚めの音が好みだというだけに過ぎないのかもしれません。

 

とはいえ9曲目の「Witness 4 The Prosection」辺りから若干テイストが変わってきて音が厚くなってきます。次曲の「Power Fantastic」のジャジーな展開とか、多彩で器楽的なアプローチも出てきて、後半は面白かった。本当に多面的ですね。