坂本龍一『Playing the Piano 12122020』

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坂本龍一が昨年行った無観客ライブの音源がリリースされました。週末はCDで音楽に向き合うことにしているので、こちらも物理的なメディアで聴いています。

 

昨今ビル・エヴァンスを聴き進めるにつけ、坂本龍一の源流があるよなあ、などと考えながら聴いていました。直近の作品群はピアノの演奏か映画音楽、あるいは現代音楽といったラインアップなので、その一環として捉えれば良さそうですが、やはり音が優しい。この点が晩年の特徴だと思います。

 

選曲はベストアルバムのよう。かつ無観客ということで息遣いや楽譜をめくる音、椅子の軋む音なんかが聞こえてきますが、以前観客のノイズを意識的に入れたライブ作品とは異なって、静かなだけによりノイズに迫力があります。

 

坂本龍一高橋幸宏もいなくなってしまいそうでとても怖い。でもこうしてひとつひとつ作品を残してくれているので、噛み締めるように味わうのが聴き手の役割です。生活に音楽を、食むように耳に、脳に入れていく。そんな中でこのピアノの音楽はとても役に立つと思います。それはこれからも長い間。器楽は賞味期限が長い。今回は「Perspective」もボーカルなしでした。