ゲット・バック・セッションの2枚目。こちらは主にその後発表されるソロ曲や『アビー・ロード』収録曲のリハーサル・テイクが続きます。
どの録音も楽しそうですが、バンドでアレンジを決めていく過程を聴いていて思うことは、「パフォーマンスで会話する」ということ。人は言葉で意思を伝えようとしますが、やっぱり言葉には限界があって、特に音楽のような形のないものは結局演奏しないと伝わらない。でも私たちは言葉しか伝える手段を持たないから、どうしてもその点がもどかしくなってしまいます。
でもバンドマンは楽器の演奏で意思を伝えることができます。これが普通の人と違うところで、センス一発で同意できます。これがパフォーマンスで会話する技術ですが、同じことはテクノロジーやデザインにも言えて、言葉で伝わらなくてもプログラムやビジュアルで伝えることはできます。従って、楽器が演奏できなくても我々は言葉とは違った別の伝達手段を持っているとも言える。
よく技術者と話す際に、人間関係とは別に技術だけでスパイラル状にアウトプットが向上していく瞬間に遭遇することがありますが、恐らくそんなことがこのスタジオの中でも行われていたんだと思います。