シンバルズ『That's Entertainment』

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シンバルズとリップ・スライムはシングルをフォローすれば良いと思っていたのでずっとアルバムを聴いてきませんでした。ここ最近中古で見つけた際にやっと重い腰を上げてアルバムを聴き直しているところです。

 

本作は2000年リリースの1st。シンバルズは当時はピチカート・ファイヴのフォロワーかと思っていたので、遅れてきた渋谷系、という印象だったんですが、やはりドラムの疾走感が尋常ではなかったのと、ボーカルの土岐麻子のアンニュイな声がとても印象的で、「これはちょっと違うかな」と思いつつ聴いていました。

 

恐らく参照先は60年代のビート・グループで、キンクスみたいなバンドなんだろうと思います。90年代のジェリーフィッシュみたいなパワー・ポップの感覚も強く出ていますね。9曲目の「ANSWER SONG」から10曲目の「Mach 0.8」への曲間の繋ぎ方なんかはとてもカッコいい。リード・トラックの「My Brave Face」は今聴いても最高にいかしています。

 

コーラスの使い方や音色のリミッターのかけ方など、小西康陽らしきテイストも勿論見受けられるんですが、やっぱり疾走感が違う。メンバーにドラマーがいるのも大きいと思います。矢野博康は今では矢野フェスなるものを主催していたりしますね。高橋幸宏がワールド・ハピネスを主催するようなものかな。

 

アルバム全体を通して聴いていてもいい曲が多い。裏ジャケットのデザインも一貫して同一フォーマットで揃えているところも憎いですね。この辺りの美学が泣かせるポイントだと思います。