やっぱり1曲35分というのは強烈で、この作品がターンテーブルに乗る機会は左程多くはありませんでした。しかし、それくらい当時のフィッシュマンズは突き抜けていたし、そのピーク状態はそんなに長く続くものではない。
テイスト的にプログレというよりも昨今復活しているアンビエントな雰囲気が近くて、まさに歌詞にあるような「夢の中」のイメージ。そう考えるとコーネリアスの『夢中夢』にも繋がるような感覚があります。
同じように収録曲1曲、という作品ではROVOなんかにもそうした作品はあった。『太陽と戦慄』の頃のキング・クリムゾンとか、クラウト・ロックのCANなんかにも近い。この辺りの浮遊感があってドロドロしていない透明感を維持したままひたすら音が続く感じはチルアウトというよりはやはり上昇していく感覚があります。これを当時ライブで再現していたところがまた凄い。
これをもってして彼岸の音楽と捉えることもできますが、深入りは禁物、みたいな危険な感じはありません。ただ孤高すぎてリピート性には乏しいかもしれません。