1972年8月26日に開催されたロック・ソサエティ・ウラワでの演奏を収録した作品。この作品はずっと聴きたかった。
小坂忠がフォージョーハーフを率いていた時期は僅か1年足らずですので録音自体が貴重ですが、同じくフォージョーハーフとして録音されたライブ盤『もっともっと』での録音時期が1972年3月30日。この間およそ5ヶ月の開きがあります。そして演奏内容はだいぶ変化している。
冒頭の「春を待っている私はこたつの中」は『もっともっと』ではカントリー風の演奏でしたが、ここではかなりロック度が増していてまるで別の曲のようです。どちらも好きですが、こちらの躍動感ある演奏も非常にいいですね。
細野晴臣作の「どろんこまつり」なんかはまるでリトル・フィートの演奏のようで、短期間にこのバンドが演奏力を進化させていることがよく分かるドキュメンタリーになっています。
フォージョーハーフのメンバーは駒沢裕城(g)、林立夫(dr)、後藤次利(b)、松任谷正隆(p)といった構成なんですが、キーとなっているのは駒沢裕城のペダルスティールギターで、小坂忠もそこを中心に結成したバンドであることを証言しています。従ってカントリーテイストが必然的に強くなるんですが、ここでの演奏はそれに加えてピアノも含めたリズム隊がかなり強力になって来ています。非常に聴きごたえがある。
フォージョーハーフが活動していた時期はほんの一瞬でしたので、この録音はとても貴重な一瞬を捉えているものとなっています。非常に興味深いですね。