ムーンライダーズの『アマチュア・アカデミー』発売40周年を記念した全曲再現ライブに行ってきました。個人的に『アマチュア・アカデミー』は初めて買ったムーンライダーズのアルバムなので、これはやはり足を運ばねば、と思いチケットを確保した次第です。
ご本人達も、まさかこの作品の再現ライブを40年後にやるとは夢にも思わなかったと思いますが、この40年という時に思いを馳せると、何という悠久の時が流れているのか、と感じざるをえません。亡くなられたメンバーもいらっしゃるし、自分の両親も既に亡くなってしまっている。個人個人にとってはあっという間かもしれませんが、周りを取り囲む環境は大きく様変わりしている。そんな長い時間を、音楽というものは飛び越えてしまうんですね。
冒頭は意表をついて「塀の上で」から始まりましたが、これはきっと今年亡くなられた渡辺勝さんを追悼しての選曲だったのではないかと推測します。もうはちみつぱいも再結成は叶わなくなってしまった。そんな寂しい気持ちを天に送って、いよいよ『アマチュア・アカデミー』の再現が始まりました。
どの曲も演奏されること自体が貴重ですが、ここ最近の渋い選曲で本作からの楽曲も演奏されることがありましたので、思い切り初体験といったものではありません。それでもやはりこのアルバムは基本的に楽曲の質がいいので、どの曲も演奏が弾けていて、とても躍動的に感じます。
中でも元々好きだった「G.o.a.P.」なんかはアレンジが洒落ていて、本当に聴き惚れてしまいました。かしぶち哲郎さんの楽曲「S・E・X」などは、メンバー皆でボーカルを回していくような演出もあり、またもや亡くなったメンバーへの敬意を感じました。いいバンドですね。途中に挟まれる『アマチュア・アカデミー』の録音秘話のようなやりとりも楽しくて、まるで当時の話を楽屋で聞いているかのような感覚になりました。
後半の選曲も比較的渋めでしたが、やはり80年代の楽曲、特に『マニア・マニエラ』からの「ばらと廃物」や「工場と微笑」といった楽曲のキレの良さは群を抜いていました。本編が終わって後半に入る前に武川雅寛さんがなかなか出てこなかったのは少し心配してしまいましたが、おしゃべりは相変わらず絶好調でした。お大事になさっていただきたいと思います。
あと2年でバンド結成50周年。凄いなあ。ローリング・ストーンズみたいですね。