石野卓球『TITLE#2+#3』disc 1


前作の『TITLE#1』から僅か1ヶ月後の04年4月にリリースされている石野卓球の2枚組作品。この一連の作品は求道者の極北を見るような気がして手が伸びずにいましたが、意外とそこまでシリアスではありませんでした。

 

七尾旅人がゲストで参加していたりして、ご本人も含めてボーカルが入っているトラックがあることも一つの要因ですが、音自体も想像していたよりは開かれている感じがしました。

 

先日観たBSフジのシティ・ポップ・カレンダーという番組でナイツの塙が言っていましたが、YMOを子供の頃に聴いた際の話で、当時自分は子供だったから歌謡曲の歌詞の意味なんて分からない。なので、むしろ歌詞なんていらない、ボーカルも音として認識する、といった話をしていました。

 

自分もまさにそうで音楽に歌詞の内容なんて左程求めていない。ボーカルも音の一部に過ぎないと心のどこかで思っています。クラフトワークなんかでも歌詞は記号ですよね。そしてこの作品でのボーカルもそうしたものだと思います。思えば坂本龍一も歌詞の内容には一切関心を示していなかった。

 

ノンストップで続くテクノはむしろ心地良く耳に響きますが、この後の『CRUISE』までは6年のインターバルがあります。そこで更に音がストイックになっていく。そこに至るまでの過程にこうしたボリュームで作品が存在したことを20年過ぎてやっと認識しました。