2019-01-01から1年間の記事一覧

テイ・トウワ『ARBEIT』disc 1

テイ・トウワのプロデュース、リミックス等の外部仕事集が出ました。2枚組で、1枚目は作曲等まで関わったもの、2枚目はリミックスが中心の編集です。 テイ・トウワは師匠の坂本龍一と同じく、歌詞に全く無頓着な人で、ボーカルは音楽の一部として割り切って…

武川雅寛『Masahiro Takekawa My First Journey 2019 Live at fu-chi-ku-chi』

ムーンライダーズの武川雅寛のライブ盤。リリースされてからしばらく経ってしまいましたがやっと手にしました。こちらもApple Musicで聴いてはいたので果たしてCDを買うべきかどうか悩んでいたんですが、やはりサブスクは一過性のもの。物理的所有の確実性に…

高野寛『City Folkiore』

まず最初にサブスクの話から始めてみようと思います。先日Apple Musicを始めたので、大抵の新作はそちらで全て聴くことができます。だとするとCDを購入するということはどういうことなのか。やっぱり単価は高いし、ただ聴くだけならそこまでのものはいらない…

高橋幸宏『Run After You』

98年の高橋幸宏のライブ盤はなかなか市場に出回らなくて、もう手に入れることは不可能かと思っていました。先にYouTubeで当時の映像も見たりしていて、これで充分かな、等と自分を納得させたりもしていた矢先にポッと見つかったタイトルです。 90年代の高橋…

ペンギン・カフェ・オーケストラ『Penguin Cafe Orchestra』

ペンギン・カフェ・オーケストラの81年リリース2nd。ペンギン・カフェはずっと探していたんですが、まさかプログレのコーナーに置いてあるとは思いませんでした。何となく環境音楽かと思っていたので、もしやワールド・ミュージックかな、などと想像しつつ眺…

ロビン・ヒッチコック/アンディ・パートリッジ『Planet England』

アンディ・パートリッジのコラボレーションシングルが出ていたのは知っていましたが、先日CDショップの店頭に置いてあったのでやっと手にしました。毎度毎度XTC関連には目がないんですが、今回も安心の出来栄え。 鳴っている音が紛れもなくアンディ節で、ど…

KIRINJI『cherish』

KIRINJIの新作が出ました。いやあ、これは。久々に複雑な音楽を聴いた気がします。一聴して直ぐには体に入ってこない奥の深さを持っている。こんな掘り甲斐のある音楽は久々に聴きました。 基本はブラック・ミュージックにテイストが近いと感じます。日本人…

デュークス・オブ・ストラタスフィア『Psurroundabout Ride』disc 2

XTC

XTCのブルーレイと2枚組での再発方式はその後も一向にメジャーになりませんが、常々アンディ・パートリッジが言っているように、沢山の音源をファンに手軽な値段で届けたい、という一心で継続している。これには頭が下がります。2枚目はいつものようにブルー…

小沢健二『So kakkoii 宇宙』

小沢健二が戻ってきました。シングルは何枚か切っていましたが、アルバムまで出すとは驚きです。もう二度とないと思っていた音楽的体験が、90年代当時を匂わせる雰囲気で時代を切り取って再来した。それはとても嬉しいことです。 ブレイク当時から痛々しかっ…

デュークス・オブ・ストラタスフィア『Psurroundabout Ride』disc 1

XTC

XTC変名サイケバンドのスティーヴ・ウィルソンによるミックス再発が出ました。『Apple Venus』の前にこれか。恐らくコリン・ムールディングの許可がまだ下りてないんですね、きっと。 『25 O'clock』が85年、『Psonic Psunspot』が87年ですので、XTCでいえば…

ピチカート・ファイヴ『カップルズ』

87年リリースのピチカート・ファイヴの1st。この頃自分は大学に入学した頃なので、CDプレーヤーを大学生協で購入した記憶があります。きっかけはXTCのCD再発に未発表曲が入っていたからでした。そして、この作品も発売当初は既にアナログが出せないタイミン…

プリンス『1999』

そもそも『パープル・レイン』をまともに聴いたことがなく、次作の『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』から聴き始めたというのがプリンスとの付き合いの最初なので、この初期の代表作もずっと聴かずに来ていました。そういった意味では不届きなリ…

プリンス『愛のペガサス』

79年リリースのこの2ndは冒頭の「I Wanna Be Your Lover」が有名ですが、実は2曲目の「Why You Wanna Treat Me So Bad?」がかつてピーター・バラカンの「ポッパーズMTV」で観た曲だったということに今更ながら気づきました。 この跳ねるようなリズムとジミヘ…

プリンス『For You』

初期のプリンスを聴いてないなあ、とずっと思っていたので、まとめて何枚か手にしてみました。恐らくいいんだろうと思っていましたが、想像以上に完成されていますね。どの曲も粒揃いの78年リリース1stです。 プリンスという人は、ソウルでもロックでもファ…

『Free Soul. the classic of Bill Withers』

ビル・ウィザースはずっと気になっていた曲があって、今回やっと手にしたこのフリー・ソウルの編集盤で判明した「Lovely Day」という曲、これは確かCMで使われていたような記憶があります。この手の出会い方はスティーヴィー・ワンダーの「Overjoyed」なんか…

ストーン・ローゼズ『The Stone Roses』

フリッパーズ・ギターを聴いていた際に、「星の彼方へ」の元ネタがストーン・ローゼズの「Elephant Stone」だという記述を『続コーネリアスの全て』で見たので、手に取った作品です。 ストーン・ローゼズは以前1枚だけ持っていたような記憶があるんですが、…

マイルス・デイヴィス『Steamin'』

マイルスをきちんと聴き始めたのが没後からだとすると91年。そこでおそらく初めて聴いたのが『Workin'』と『Cookin'』ということは、マラソンセッションの完遂に30年弱を要したことになります。これは長い。 マイルスの活動の中で、キーとなる作品が『Round …

マイルス・デイヴィス『Round About Midnight (Special Edition)』disc 2

2枚目はライブになります。冒頭の曲はマイルスがコロンビアと契約するきっかけとなったニューポート・ジャズ・フェスティバルの演奏で、セロニアス・モンクやジェリー・マリガンなんかと一緒に表題曲を演奏しています。これでマイルスの運命が変わった。 二…

マイルス・デイヴィス『Round About Midnight (Special Edition)』disc 1

マイルスの55年録音のこの作品は以前にレンタルで借りて聴いていましたが、PCには残していませんでした。つい先日そのことに気付いて、ブログを見返してみると、いつかお金ができたら買う、みたいな書き込みがあって、当時は相当小遣いに困っていたんだなあ…

カーティス・メイフィールド『Never Say You Can't Survive』

カーティスのミッシング・リンクもまだ沢山あって、未だに機を見ては物色しているんですが、こちらは77年リリースの作品。とてもメロウで、地味ながらも温かく、聴いていて心地の良い佳作です。 どの曲もアレンジのバランスが良くて、何より前向きで明るい雰…

ニュー・オーダー『Technique』

ニュー・オーダーの89年の作品。ずっと聴こうと思っていましたが、今回やっと手に取りました。もっとバキバキのエレクトロニックかと思っていたら、結構ポップス然としているなあ、というのが第一印象です。 ニュー・オーダーの場合、「Blue Monday」の印象…

あがた森魚『誰もがエリカを愛してる』

21世紀に入ってからのあがた森魚は傑作しか作っていない、ということで、こちらは2011年にリリースされた刺激的なタイトルの作品です。やはり沢尻エリカの名前を使うのに許可を得るのが時間を要して、前作の内田裕也をモチーフにした作品から若干の間が空い…

マイルス・デイヴィス『Miles 〜 The New Miles Davis Quintet』

ハードバップ 期の録音が一番しっくりくると感じてからのマイルスの聴き方はとてもピントが絞れるようになりました。これまでは手当たり次第でしたが、ようやく深掘りする切り口が出てきたところです。かつてフランク・ザッパやPファンクに対して行ったよう…

マイルス・デイヴィス『1958 Miles』

その名の通り、1958年の録音を集めた日本編集盤。この時期は『Kind of Blue』へ、いわゆるモード奏法へまっしぐらの頃で、段々と演奏が落ち着いてきているような印象を受けます。 かつて友人が「この頃のマイルスが一番いい」と言っていたのが果たしてどの時…

遠藤賢司『オムライス』

遠藤賢司とあがた森魚の場合は、個々の作品というより総体で聴くアーティストのような気がします。こちらは83年発表のミニアルバムで、プロデュースは細野晴臣。越美晴が参加しています。僅か6曲、18分の小品です。 とても静かな音楽。ファルセットのボーカ…

スーザン『コンプリート・スーザン』disc 2

1stには『音楽殺人』を、この2ndには『ニウロマンティック』を聴くのかと思っていましたが、2ndは『出口主義』でした。 1st同様、豪華な執筆陣が曲を書いていますが、特に後半に行くに従って、かなりドラムのフィルインがビートニクス感を出してきて、非常に…

スーザン『コンプリート・スーザン』disc 1

高橋幸宏プロデュースの2作品をパッケージした再発品です。当時、スーザンだかサンディーだかよく分からずにいたものの、その存在だけは知っていました。但しお金がなくて流石にプロデュース作品にまでは手が伸びなかった。こうして40年の時を経て初めて聴…

カサンドラ・ウィルソン『New Moon Daughter』

バラカン・ビートで耳にして以来、ずっと漁っていたカサンドラ・ウィルソンでしたが、お目当のアルバムがなかなか見つからないので、まずはこちらに手を伸ばしました。 名盤と言われている作品ですが、初体験の身としてはちょっと全体的にトーンが暗いのが気…

マイルス・デイヴィス『リラクシン』

マイルスを最初に聴いたのが『ワーキン』と『クッキン』だったので、この時期、50年代中盤の音が実は一番好きかもしれません。本作はずっと気になっていて、今回やっと手を伸ばしました。 「マラソン・セッション」と呼ばれる、プレスティッジを去る際に残し…

アリス・クラーク『Alice Clark』

フリーソウル・シリーズを聴いていて唯一引っかかったのがこのアリス・クラークという人です。謎の人物のようですが、1枚だけ72年にアルバムを出していて、それが90年代の再評価でクローズアップされて見事に再発されている。 聴いてみると全編素晴らしくて…