高橋幸宏『Run After You』

f:id:tyunne:20191130054918j:plain


98年の高橋幸宏のライブ盤はなかなか市場に出回らなくて、もう手に入れることは不可能かと思っていました。先にYouTubeで当時の映像も見たりしていて、これで充分かな、等と自分を納得させたりもしていた矢先にポッと見つかったタイトルです。

 

90年代の高橋幸宏は特に後半かなり行き詰まっていたようにも見受けられます。日本語ポップス路線である程度の到達点を経て、より売上にこだわるようになった。一時期の坂本龍一もそうですが、ビジネス性に固執してしまって、そこに限界を見る。そしてその後吹っ切れるわけですね。世紀が開けるとスケッチ・ショウが待っています。

 

混迷を極めていた割には演奏はしっかりしていて、むしろ安定感抜群。しかしそれが危うい。平凡に終わる可能性があるからです。綺麗すぎて刺さらない。無難すぎて刺激がない。そんな風になってしまうと面白くありません。そうして終わっていくのかと思っていた。

 

でもそうではありませんでした。年齢を重ねて鋭くなった部分と緩くなった部分を同時に併せ持つ贅沢を味わわせてくれました。とても勉強になります。