高橋幸宏『What, Me Worry ?』

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高橋幸宏のアルファ時代の再発シリーズ第2弾。82年リリースの作品となります。まだYMOが活動していた時期ですが、怒涛の81年を経て各自がソロ活動に邁進していた頃。高橋幸宏の作品はいつもわかりやすくて、手に取るのが楽しみでした。

 

この時期の作品で実は一番好きなのが12インチシングルで発売された「二人の陰に」です。今回の再発でもボーナストラックに収録されていますが、音の質感がビートニクスの1stっぽくて、いい感じに抜けが良い楽曲となっている。背後に鳴っている浮遊感のあるシンセの音も当時の雰囲気をよく出していて非常にいいですね。

 

本編の方では「Disposable Love」が傑出していると思います。

 

高橋幸宏の日本語路線は実はこの『What, Me Worry ?』あたりから始まっていて、これが90年代には楽曲の中心となっていくんですが、そう考えると、そうしたポップス路線から英国を中心とした洋楽路線に踏み出した時期というのは80年の『音楽殺人』と81年の『ニウロマンティック』の2枚くらいしかない。1stの『サラヴァ』もこの『What, Me Worry ?』も、もちろんこの後の『薔薇色の明日』も基本的にはポップスが中心となってきています。

 

しかしニューウェーブ路線とこうした甘いポップス路線が絶妙にブレンドされているのが本作収録の「Disposable Love」と前作の『ニウロマンティック』に収録されている「Drip Dry Eyes」なのではないでしょうか。ここは数少ない奇跡の瞬間だった。そんな風に思いました。