moonriders LIVE 2022

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もう一週間前となってしまいましたが、ムーンライダーズの日比谷野音コンサートに行ってきました。ここ最近のコンサートは配信で観ていましたので、実際に会場に足を運ぶのは6年ぶりくらいです。天気も上々でしたので、暑くも寒くもなく、ちょうど良い陽気でした。感染対策で席も一つずつ空けて座る形。ゆったりと楽しむことができました。

 

ここ最近のムーンライダーズのセットリストは非常にツボをついたセンスの良いものが多くて毎回意外性があって楽しいんですが、今回も驚くような楽曲を沢山演奏してくれました。そんな中でも一番グッと来たのは「Flags」です。

 

鈴木博文さんの曲ですが、比較的後期作品でジワジワと盛り上がっていく隠れた名曲。そこに今回は観客の掲げる様々な旗が会場を埋め尽くしていて、何とも言えない感動的な光景を醸し出していました。これは会場との一体感も含めて非常に素晴らしかった。盛り上がりはその後の「スカーレットの誓い」で最高潮を迎えましたが、そのピークを導いたのは間違いなくこの曲でした。

 

比較的初期の楽曲を多く演奏した印象が残りましたが、中でも出色なのはやはり「月夜のドライヴ」です。はちみつぱい楽曲ではありますが、何度かムーンライダーズで再演されているキーとなる楽曲です。観客は皆、上空の月を見上げている。演奏を聴いていてとても幸せな気持ちになる瞬間でした。

 

80年代の楽曲の中で意外性が高かったのは「檸檬の季節」と「BLDG」でしたが、特に「BLDG」の方はビルに囲まれている日比谷野音の状況と相俟ってとても印象的でした。リズムがゆったりとしていて、かつ電子音で刻まれているので、ライブで聴けること自体が貴重。そしてオリジナルでは何度も音を重ねて録音されているラストのパートを生演奏で聴いていると、このまま永遠に続いても良いのではないかと思わせる覚醒感がありました。

 

今回は11年ぶりに新作が出るという驚異的なタイミングでのコンサートでしたが、新作から演奏された中では白井良明さんの「駄々こね桜、覚醒」が素晴らしかった。白井さんのポップな感覚は全く衰えていない。ここへ来てまだ高揚感のある楽曲を書けるのか。演奏力も含めてとても感激しました。

 

果たしてこの晩年でのピークがいつまで続くのか。少しでも長く、ご健康にお気をつけて、皆に音楽の幸せを分け続けていただければ、とてもありがたいです。