ムーンライダーズ『80年代のムーンライダーズ vol.1』

ムーンライダーズのコンサートは何故か年末に観ることが多い。今回も年の瀬に六本木のEX THEATERで『80年代のムーンライダーズ vol.1』と銘打ったライブを観てきました。

 

vol.1ということはvol.2もあるのか?はたまた70年代、90年代もあるのか、等々、様々な憶測を誘発するタイトルですが、全盛期の80年代に焦点を当てるという企画自体がまずは素晴らしい。最近は『マニア・マニエラ』や『青空百景』の再現ライブなども行われているので、その流れから出てきているようにも思いますが、いずれにせよ非常にそそる企画です。

 

選曲はGHQではなく澤部渉、佐藤優介ご両名によるものですので、切れ味こそ違えどなかなかに渋いところを突いてきていました。2曲目の「エレファント」で初っ端から結構盛り上がりましたが、白眉は「A FROZEN GIRL , A BOY IN LOVE」で、この瞬間が一番グッときました。

 

「GYM」を選曲してくれたことも非常に嬉しかった。ナイポレで予告めいたコメントがあった「銀紙の星飾り」は流石に演奏されませんでしたが、他にもアートポートや「NO.OH」なんかもあって、とても楽しい時間を過ごせました。

 

80年代はムーンライダーズの活動がピークを極めたということもあり、これまでにも結構演奏されている楽曲が多かったので、なかなか選曲は難しかったと思いますが、先の再現ライブを経て、このタイミングでは『アマチュア・アカデミー』からの選曲がキーポイントになることは何となくここ最近のGHQ選曲傾向からも窺える点ではありました。そんな中でもド定番の「スカーレットの誓い」や「トンピクレンッ子」を外すところが渋い。そしてそれでいいと思います。

 

「だるい人」を聴きながら昨今の鈴木慶一ノベルティ路線を想起してみたり、アンコールの選曲には今年の追悼の意を込めていたりと聴きどころは満載でしたが、ラストの「くれない埠頭」で一瞬演奏がインプロヴィゼーションに展開しかけたところで、「もしやここで21世紀のムーンライダーズへと繋げてしまうのか?」と思わせたところはスリリングでした。そのままインプロで幕引きしていたら驚いたでしょうが、それは以前やった演出なので、二度と同じことはしない。それがムーンライダーズというバンドです。