鈴木惣一朗さんの2000年代のディスクガイドの中で、数少ない自分が持っているタイトルです。この作品はリリース当初も夢中で聴きましたし、今聴いても非常に未来的で素晴らしいアルバムです。
点描画のように音を配置して、その要素がリズムからギターやボーカルにまで及ぶという特異な手法ですが、根本にはご本人が音の面白さに気付いているのと、楽曲で皆を驚かせたい、しかもポップに、という気持ちが溢れていて、そのイメージを一旦バラバラに分解して再構築するという音楽になっています。これはとても新鮮でした。
昨晩、スケッチショウのライブ映像が配信されていましたが、本作を聴いて細野晴臣がラジオ番組のゲストに小山田圭吾を招いたことからスケッチショウへの参加、その後はYMOのサポートメンバーとしても活躍する、という流れが出来ていった。そんな意味でも重要な分岐点となるアルバムです。
世紀が変わって、こうした引き算の音楽が出てきたことに当時は驚きましたが、背景にはお子さんが生まれて、何も起こらない静かな公園で過ごす時間や、陽の光がたくさん入るスタジオでの録音、といった要素が音楽に影響を与えていった、というインタビューを目にして非常に納得しました。「時代のムード」といった発言も印象的でしたね。
冒頭の「Point of View Point」もカッコよくて大好きですが(MVも最高)、7曲目の「Bird Watching At Inner Forest」が抜群にいいですね。