YMO『テクノドン』

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母が亡くなってから間もなく2週間が経とうとしていますが、その後すぐに連休だったので、追悼の意味も込めてYMOの作品を時系列に聴いていました。

 

YMOと追悼というのは余り似つかわしくないかもしれませんが、リアルタイムで自分が聴いていた時期が中学生の頃でしたので、まだ自分が両親の保護の下に暮らしていた時の記憶と、その後の時代の変遷を重ね合わせて想いを馳せていました。

 

父の時と異なり、今回はまるでスターウォーズジェダイが亡くなった時のように、両親がすぐ側にいるような感覚があります。ですので寂しさは不思議と余りありません。細野晴臣が言うように、今はコロナの影響で現実と夢の境がないような感覚なので、その辺りももしかしたら影響しているかもしれません。

 

親の保護下にあるからこそ安心してのめり込んでいけるものというのは、もしかすると幼稚なものかもしれない。場合によっては歳をとったり価値観が変わると聴けなくなってしまう。果たしてYMOもそうだったんだろうか?などと考えていましたが、それは杞憂に終わったようです。

 

この『テクノドン』という作品は93年にYMOが一時的に再結成された際にリリースされたアルバムで、当時福島にいた自分はその後の東京ドーム公演にも参加しました。YMOの40年の歴史からすると、結果的には中間地点にあたる位置づけで、散会後10年、再々結成の10年前、といったポジションにあります。

 

時系列で聴いていくと散会が83年、本作の発売が93年、スケッチショウの1stが02年となります。スケッチショウ細野晴臣高橋幸宏のユニットですが、ここに坂本龍一もゲストで参加して、その後HASYMOとなっていきますので実質的に再結成の始まりとみて間違いないと思います。

 

今回のリマスターは砂原良徳によるものですが、音の印象はかなり肉感的で、全体を埋め尽くすような、耳に迫ってくる迫力があります。ちょっと押しが強すぎるくらいです。低音を中心にかなり音が増幅されていて、少しクールな印象だったこの作品のイメージをかなり変えていると思います。

 

過去にも書きましたが自分はこの作品は結構好きで、機会がある度に聴き返して来ました。ですので、もう終わったと思っていたYMO40周年のイベントが、契約の関係で見過ごされがちな本作の再発で幕を閉じたことは非常に嬉しく思います。