ドナルド・フェイゲン『Morph The Cat』

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間にスティーリー・ダンの復帰作2タイトルを挟んでのソロ3作目。前作から13年のインターバルがありますが、この時はスティーリー・ダンの2作があったので左程の渇望感はありませんでした。

 

昨日久しぶりにスティーリー・ダンの『Two Against Nature』リリース時の映像を引っ張り出して観てみましたが、ライブツアーのメンバーとの演奏が本当に充実していて、お二人も楽しそうなのが映像から伝わってきました。2000年当時にWOWOWで放送された番組のようでしたが、折に触れて見返してはライブの充実度に舌を打つという繰り返し。スティーリー・ダンは賞味期限が長いですね。

 

さて、本作については前作から一転して地味な感触ですが、肝はスローな楽曲にあるように思います。タイトル曲の執拗なリフの繰り返しはまるでウォルター・ベッカーが乗り移ったかのようですが、本作はドナルド・フェイゲンのセルフ・プロデュースです。5曲目の「The Great Pagoda of Funn」や7曲目の「The Night Belongs to Mona」に見られるような繰り返される転調と粛々と進むリズム。この辺の魅力に気付くには大分時間を要しています。

 

ベースの音が太い。全体的に音の重心が低くて、どっしり座り込んだ中に細部が煌めくといったサウンドです。