キャリアの中でも狭間にあたる73年リリースのこの2ndは4thの『うそつきケイティ』と共にどうしても印象が地味になりがちですが、何といっても傑作の1stと3rdの間にある作品なので悪いはずがありません。楽曲に馴染みがないのは単純に自分が聴く機会が少なかったためなので、改めて聴いてみるとそれなりにいい曲が多いアルバムではありました。
まだかろうじてスティーリー・ダンがバンドとしての形態を保っていた頃の作品なので、パーマネントなメンバーも存在しています。とはいえ出自がそもそもドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー、そしてプロデューサーのゲイリー・カッツの3人組で作品を作っていくユニットだったことを考えればバンド形式が一時的だったと見るのが妥当でしょう。後期の凄まじい構成ぶりをここで見ることはできずとも、その萌芽は各所に見受けられます。また、本格的にドナルド・フェイゲンがリードボーカルに座った作品としても意義深いものだと思います。
後年発掘されたライブ音源にも収録された楽曲があるので、今聴くと左程地味な印象を与えないところもある佳作。楽器のソロパートが何気に多いのも印象に残りました。