プリンス『For You』

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初期のプリンスを聴いてないなあ、とずっと思っていたので、まとめて何枚か手にしてみました。恐らくいいんだろうと思っていましたが、想像以上に完成されていますね。どの曲も粒揃いの78年リリース1stです。

 

プリンスという人は、ソウルでもロックでもファンクでもなく、純粋にポップスとして楽しめる類の音楽を比較的素直に奏でることのできる立派なアーティストで、楽曲も綺麗なものが多い。実際、この作品でもアコギやコーラスが活躍していますが、なんと言っても凄いのは、これらを全部一人で演奏しているという事実。マルチミュージシャンなんですね。その辺が素晴らしい。SSWでもあります。トッド・ラングレンなんかに近い。

 

中後期から実験精神旺盛なアプローチで、かつセクシャリティにも挑んでいくので若干の気色悪さが前面化していきますが、根っこのところでは音楽に対する素直な希求のようなものが真っ直ぐに伸びている。そんな感じがしました。