ウェイン・ショーター『Native Dancer』

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ウェイン・ショーターウェザー・リポート経由でソロを聴いたりもしていましたが、このミルトン・ナシメントをフィーチャーした作品は知りませんでした。キーボードはハービー・ハンコックなので、どちらかというとグルーヴィーな雰囲気を想像していましたが、やはりブラジル色の濃い作品。それも爽やかなフュージョンといった趣です。これは聴きやすい。

何故か聴いていてトッド・ラングレンの『Initiation』を思い出しました。どちらも75年リリースなので時期的にも符合します。端的に音の質感が時代的にリンクしているだけなのかもしれませんが、トッドがプログレ志向の発展系としてああいったインストの組曲を披露したのに対して、こちらはフュージョン、ブラジルからこうした質感に辿り着いている。これは当時の時代の空気感がフュージョン寄りだったということと、電子楽器の表現が繊細な音を構築するのに一役かっていた、ということなのかなあ、と考えてみたり。

いずれにしろ、ウェイン・ショーターの作品というよりも時代を聴く作品、あるいはブラジル音楽に接近することで心地良さを獲得した作品、と捉えた方が良いように思えます。