寺尾紗穂『楕円の夢』

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借りた作品の最後はシュガーベイブに在籍した寺尾次郎の娘さん、寺尾紗穂の最新アルバム。存在は知っていましたが聴くのは初めてです。

冒頭はピアノの弾き語りでローラ・ニーロのようだと思いました。あるいは最近でいえば青葉市子のようなハスキーで高い声。ただ聴き進めてみると大分多彩な才能を持った人であることが分かってきます。その後に続く曲ではエレクトロニカのような電子音が入りますし、続く曲はまるで『音楽図鑑』の頃の坂本龍一のよう。伊賀航のドラムが入るといきなりポップになります。

先日惜しくも解散してしまった森は生きているの前面バックアップによる「リアルラブにはまだ」に至ると、バックのモダンな演奏に乗って聴こえてくる歌声はティン・パン・アレイの頃の大貫妙子のようです。様々な表情を見せる楽曲に淡々と応えていく歌声はとても新鮮に聴こえました。もう7作目ということで大分長く活動をしているんですね。これはシュガーベイブの娘、という看板ももはやいらない位です。なかなかよい作品でした。