ユートピア『Another Live』

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75年という年はトッド・ラングレン関連で3枚ものアルバムがリリースされた年なんですが、こうした多作なところもトッドのひとつの魅力となっています。ユートピアの作品の中でもこの作品は比較的好きなんですが、要因は初期のプログレ趣味と後のポップス路線が絶妙にバランスをとっている点だと思います。

冒頭3曲がよく聴く曲ですが、特に2曲目の「The Wheel」へ至る流れとその後の複雑な構成を持ちつつポップな「The Seven Rays」、これは本当にカッコよかった。ソロでの宅録志向でひとつの頂点を極めた後でバンドのグルーヴに向かう。そのどちらも追求していくという飽くなき探究心には目を見張るものがあります。

ジェフ・リンの「Do Ya」をカバーしている点も話題に上ることが多いですが、何より当時のライブの質感をパッケージした点で貴重な記録であると言えるでしょう。活動期間が長いので過渡期の産物とも捉えられますが、やはりバランスという意味での頂点と考えて良いのではないかと思います。