トッド・ラングレンズ・ユートピア『Live at The Chicago Theatre』

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およそ一年前の2018年5月にシカゴで行われたユートピアのコンサートを収録したライブ盤が出ました。ブルーレイ、DVDに加えてCDもパッケージした4枚組。最近はこうした映像と音源を一緒にした商品が多くなってきましたが、やはり映像はリピート性が弱いので、音を別に用意して発売するのは良いことだと思います。音の方が比較的手軽に聴けますし、携帯プレーヤーで楽しむこともできますので。

 

全24曲。まずはCDから聴いて、その後映像を観ましたが、演奏の方は充分満足です。ユートピアは本当に演奏力が高くて、これ、4人で演奏してるの?と疑いたくなる程素晴らしい。音もそうですがコーラスワークもとても高度です。

 

前半の初期楽曲、プログレ風味の曲が一周回っていいですね。とにかく演奏力が確かなので、観ていてメンバーが楽器演奏を楽しんでいる様子が伝わってきてとても微笑ましい。ドラムも力強くて各楽器の鳴りもいい感じです。冒頭の「Utopia Theme」から『Ra』収録の「Overture - Communion With The Sun」ぐらいまでは本当に絶好調です。

 

「Monument」という曲は初めて聴きましたが、ユートピアの最後のベスト盤『Trivia』に収録されている楽曲で、ここは不覚にもチェックし切れていませんでした。「Another Life」みたいでいい曲ですね。

 

後半は4人編成になってからのポップバンドとしてのユートピアの楽曲群。こちらの方が馴染みが深いので安心して観ていられます。最後は「Love Is The Answer」「One World」「Just One Victory」の3連発で終了。この予定調和がいいんですよねえ。最後の定番曲でやけにコブシが回っていると思ったら、トッドがギターを演奏していませんでした。「トッドは楽器を演奏していた方がコブシが回り過ぎなくていい」と昔、鈴木慶一が言っていましたが、まさにその状態でした。

 

演奏はバッチリですが、ステージは非常にシンプル。そしてお客さんの年齢層が高めです。トッド・ラングレン自身が1948年生まれで今71歳ですから致し方ないですが、そう考えるととても元気だなと思います。細野晴臣の1歳下なんですね。まだまだ現役感があるなあ。