このライブ盤はユートピアの1st『トッド・ラングレンズ・ユートピア』の収録用に使われた音源の日のライブだそうで、1曲目の「Utopia Theme」がまさに収録バージョンに当たるそうです。しかし、それ以前に気になるのは収録曲。ここでは翌74年にリリースとなる『Todd』収録曲が複数収録されている。
「Don't You Ever Learn」「Son of 1984」「The Last Ride」等がそうですが、これが意味するものは、トッドもこの時期ライブで演奏した曲を後でオリジナル・アルバムに収録するライブ先行型になっていたという事です。当日のライブに来た観客は初めて耳にする楽曲ばかりになる訳ですね。
これ、今では結構当たり前になりましたが、それはCDが売れなくなってライブがアーティストにとっての収益源になって来たからの出来事。70年代はそんなことはなくて、元々トッドもスタジオ録音楽曲を正確に再現するためにユートピアを結成したと言われています。それでもライブ先行型でまずは観客の反応を確かめてその後作品化する、という流れがこの頃にはあったということ。単純ですが、こうした事実を証明するものとして、このライブは絶好のエビデンスとなっていると思います。
当然作品化される前なので、ライブならではの遊びはまだなくて、オリジナルに比較的忠実に演奏されています。何と言ってもこの時点では未発表曲になる訳ですから当たり前ですね。そんな意味で非常に興味深い作品だと思います。音もいい。
