ポール・マッカートニー『McCartney』

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70年リリースのポール1st。

この作品も長い間保留にしてきましたが、今読んでいる『細野晴臣 録音術』で鈴木惣一郎が吉野金次へのインタビューで『Hosono House』の参考作としてトッド・ラングレンの『Runt』と一緒に本作を引き合いに出しているのを見かけて「これはやはり聴かねば」と思っていました。

基本的にはどれも宅録。確かに言われている通り、これがビートルズ解散の時代にリリースされたら当時の人達は戸惑ったでしょうし、今聴いてもおよそ派手さとはかけ離れた個人的な佇まいが炸裂しています。何よりインストがやけに多いところが難点でしょう。これが次作の『Ram』までいくと大分バランスがとれてくる。

この時点ではやはりパーツパーツで聴きどころを探して深堀していくのが本作の聴き方でしょうし、長い時間が経過して当時の位置づけを考えてこそ生きてくる作品なんじゃないかと思います。「Every Night」や「Junk」はそうは言ってもいい曲ですし、原石としての音の質感も味わい深い。このポコポコしている感触が確かに『Runt』や『Hosono House』と同列で語られる所以なんだと感じました。

インパクトはないものの、長くスルメのように聴き進めて行く作品なのではないかと思います。