矢野顕子『音楽堂』

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矢野顕子のリスナーとしても自分は不真面目な方なんですが、この2010年の作品もやっと手にして聴きました。何と既に発売から8年も経っているんですね。驚きです。

そうした時間の経過を全く感じさせない時空を軽く超えた作品に仕上がっていますが、こうしたピアノ弾き語りの作品が当然のように耳を通り過ぎて行ってしまうのは何故なのか。恐らくは余り歌詞を聴いていないからではないかと思っています。音楽に語りは必要ない。

とはいえ、ここでは音の「鳴り」を聴くべきで、病気から復帰後の吉野金次がエンジニアで参加しています。このノイズも含めた音の鳴りは『HOSONO HOUSE』でも聴けるものだし、空間が鳴らす音の広がり、楽器の音の拾い方、などなど、つくづくスタジオ録音の研修に参加しておけばよかったと悔いが残ります。

まるでライブ会場で聴いているかのような臨場感。しかもそれはコンパクトなパッケージになっている。きっとそれが技なんでしょう。とても落ち着いて聴くことのできる作品です。