矢野顕子『TWILIGHT 〜the "LIVE" best of Akiko Yano〜』

f:id:tyunne:20210505083035j:plain


90年代の矢野顕子、今度はライブ映像のベスト盤です。2000年リリースのDVDですが、こちらは以前にCDの方を聴いていました。96年から99年のさとがえるコンサートから選別されたもので、ベースにアンソニー・ジャクソン、ドラムにクリフ・アーモンドという布陣。演奏はとてもタイトでシャープです。

 

演奏力が抜群なので、その映像にも説得力があるし実際に演奏している姿を記録した時点で価値があると思いますが、観ていてその技術に魅せられるというよりは痛快な印象を受けました。そして、実はそこがポイントではない。その技術を超えてくるものに矢野顕子の本質があるような気がします。

 

「ひとりぼっちはやめた」という曲が収録曲の中では一番良かったんですが、高度な演奏力に基盤を支えられた上で、そこから浮き上がってくるセンチメンタルな要素がある。端的にいい曲だということもあるんですが、この演奏にこの歌を乗せてくるところが矢野顕子の強いところです。演奏の技術を超えて聴く側の感情に迫ってくる力があると思います。総体として音楽の力が優しくて強いんですね。

 

いろんな時期の映像がランダムに収められているので演奏メンバーや衣装も曲ごとに変わります。スニーカー姿の矢野顕子さんも可愛いですね。とても楽しめる映像でした。