大貫妙子『40th Anniversary Live』

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WOWOWで放送された大貫妙子の40周年ライブはとてもふくよかな演奏で気持ちのいい映像でした。最近はその素材が商品化される機会が多いですが、これもそのひとつ。目玉はキャラメル・ママの演奏です。

大貫妙子に限ったことではないですが、フロントに立つ人が聴き手にまわる瞬間というものがあって、今回はそれがキャラメル・ママの単独演奏楽曲やパーマネントメンバーのソロまわしの際に起こっています。とても和やかな映像で、いい音楽の作り手は同時にいい聴き手でもあるという証明になっている。特にキャラメル・ママの演奏は太くてタイトで、本人曰く「貫禄」が感じられます。これは矢野顕子のさとがえるコンサートでも言えることですが、ここ最近のティンパン系リバイバルはこの先の細野晴臣の動向を予感させる内容で、非常に温かい。

内容的にもベストの選曲で、これ以上ない贅沢な時間をゆったりとお茶の間に届けてくれています。『One Fine Day』に何故自分が惹かれたのか、大貫妙子のコメントで分かったような気がしました。要は「再現性」なんですね。スタジオで録音された音そのままの素材がステージでも提供されている。ほぼ一発録りのアルバムだそうですが、このクオリティではそうなるでしょう。皆、演奏が上手い。当たり前かもしれませんが。

こんなにゆったりとした時間を提供する映像はそうはないと思います。とても素晴らしい内容でした。