YMO『RARE TRACKS and more』

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ラスト。企画力のなさが集約されているレアトラック集です。

やっぱりアルファ時代の『テクノバイブル』を彷彿とさせますが、そこでのレアトラック集はオーブのリミックスなんかも入っていたので、それに比べればまだまし。とはいえ既出音源の多さからお得感はまったくといっていい程ありません。05年時点でこれですので、その後もたかがしれています。愛情の空回りか、あるいはビジネス優先の中途半端な集大成志向か、これ以上詮索するのも時間の無駄かな。

このボックスセットが出たのが05年3月。既にスケッチショウとしては02年からリリースがスタートしており、05年の9月には細野晴臣が狭山のハイドパークで次のモードに移行しています。そして07年のパシフィコ横浜でのHASYMOのステージ、「RYDEEN 79/07」のリリース、08年のWORLD HAPPINESS開催、と怒濤のごとくYMOは復活していく訳ですが、05年の時点でその流れは想像できなかったのも無理はない。とはいえ兆しはあったかと思うんです。

たまたま連休中に見つけた04年元旦のJ-WAVEの番組を聴いていたんですが、既にここでも大分メンバーが仲良さそうに戯れていて、坂本龍一の『CHASM』と合わせて流れを追っていけば何かヒントはつかめるはず。

 

但し、メンバーの志向は常に前を向いていて、過去を振り返るものではない。そこがアーカイヴ系企画の苦しいところです。とりあえず当時購入を見送ったのは正しい判断だったと思いますが、こうして聴き返してみるとやはりエンジニアの魂が垣間見えるようで、その点においては満足しています。後はライブ音源の再発見を促してくれたのも収穫でした。但し、企画力はNGですね。仕方がないとはいえ単価が高い商品ですので、単なる寄せ集めではない価値を付加して頂きたかったというのが感想です。