吉田美奈子『扉の冬』

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「美奈子は家出少女かと思ってたよ」とかつて細野晴臣が発言していたのが面白くてよく覚えています。

 

73年リリースの吉田美奈子のこの1stは以前持っていて売ってしまったとばかり思っていましたが、初聴でした。持っていたのは『フラッパー』だけ。ずっと本作を聴こう聴こうと思っていて何年か過ぎていましたが、今回のリマスター再発でやっと手にしました。先日の細野晴臣のデイジーホリデーで紹介されたのも大きい。

 

32分と短いですが、とにかく音がいいし演奏もキャラメル・ママなのでバッチリ。言うことありません。吉田美奈子の初々しいボーカルもいいですし、何気にパーカッションの鳴りが楽しい。しかし、鈴木茂のギターも松任谷正隆のキーボードも林立夫のドラムも細野晴臣のベースもやっぱり最高です。この頃が一番いいんじゃないか。

 

70年代初期は大貫妙子荒井由実、少し遅れて矢野顕子といった人たちの素晴らしい作品群を味わってきていますが、吉田美奈子だけは何故か手を出してこなかった。思うに少しソウル寄りだったのが原因かと思いますが、初期はこの1stのようにまるでローラ・ニーロのようで、かつこの後もシティポップ系で連なっていく。これはきちんと聴き進めないと勿体無いですね。