91年という年はジャパンがレイン・トゥリー・クロウという名で再結成した記念すべき年でした。残念ながらそこにジャパンという名称を使うかどうかでメンバー間に再度亀裂が生じてその後のリリースはありませんでしたが、同じ年にこの作品がジャンセン=バルビエリ名義でリリースされ、そこにミック・カーンも参加しています。すなわちこのアルバムはジャパンの裏歴史の第1章という位置づけとなる訳です。
基本的に地味。但し、レイン・トゥリー・クロウで展開された緻密な音づくりを継承したものとなっていて、先日聴いたドルフィン・ブラザーズの弾けたポップさとは一線を画するものとなっています。
因にその『Catch The Fall』が出たのが87年。同年にはミック・カーンの『Dream Of Reasons』がリリースされており、そこにデヴィッド・シルヴィアンがボーカルで参加して徐々に和解が進みレイン・トゥリー・クロウに至る、という経緯を考えると87年と91年という年がジャパンにとって重要な年となっていたことに思いを馳せざるを得ない。ミック・カーンが亡くなった今となっては、もう二度とそうした邂逅は起こりえない訳ですので、返す返すも残念でなりません。