オランダの才人、ベニー・シングスによる08年リリースのプロデュース作。ジョヴァンカという人はモデルさんのようですが、音楽にも並々ならぬこだわりがあってベニー・シングスと出会った模様。J-WAVEでもたまにかかったりしていましたので、そこそこ日本でも名が売れているのかもしれませんが、自分はまず高野寛のTwitterでベニー・シングスの存在を知りました。そこから辿ってここに至った感じです。
で、これがデビューアルバムですが、すこぶるいいですね。とってもポップでしかもカッコいい。このバランス感覚が保てるのは結構難しいことですが、難なくやり遂げているところが天才のなせる技だと思います。
全編に渡って素晴らしい出来ですが、国内でいえば何となくピチカート・ファイヴを彷彿とさせたりも。ただ、以前高野寛も呟いていた通り、宅録系のひとつの理想的な方向性としてベニー・シングスのアプローチというのはありだと思うんです。音は若干閉じ気味に聴こえる面もありますが、何と言いますか、コクがある。グルーヴと言ってもいいのかな。恐らくはリズム感が常人と異なるのでしょう。構築力というより手癖のようなもの。湧き出るセンスはどんなアーティストにも伝染してしまう。そうした強さを持った音楽だと思います。耳障りがいいのもポップ・ミュージックとして前提をクリアしている。想像以上にいいアルバムでした。