坂本龍一『Sweet Revenge』

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94年リリース。いわゆる「売れ線狙い」という奴で、当時坂本龍一なりのPOPを意識して作られたが売れなかった作品。当時福島で得意先の担当者に「結構いいよ」とカセットに録音してもらったのを思い出す。実際良かったが、当時は坂本龍一に興味を失っていた時期だったのでずっと手にしないでいた。

で、改めて聴いてみるといい。『Moving On』や『Regret』なんかは充分ポップで、何で売れなかったのかよく分からない。その後5分で作った『エナジー・フロー』がミリオン・ヒットになるんだから皮肉なものだ。恐らく『二人の果て』みたいなことをやったからマイナーに映ったのでは?これは中谷美紀とのデュエットという話題性の割に意外と暗い曲だ。

 

『Same Dream, Same Destination』なんかもポップだし、テイ・トウワ、サトシ・トミイエとの共同作業も板について充分同時代的のように感じるんだが、世間の求める坂本像と本人の意識する理想がアンマッチだったんだろう。鋭さはないがスルメのように効いてくるアルバムのように思う。アーティスティックな割には妙に大衆に擦り寄った感じがしてしまうのが中途半端に感じられてしまうのが玉に傷。突き抜け方が足りなかったのかもしれないな。でも私はこの時期の作品の中では相対的に好きな方です。

ラストの『君と僕の彼女のこと』は高野寛色が濃くていい感じ。実はこの二人はよく合う組み合わせのような気がする。