デヴィッド・シルヴィアン『Sleepwalkers』

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出る出るといわれてやっと出たここ10年の課外活動集。最近は前衛的な作品が多いだけに、ソロ以外での活動が意外にポップだったりすることに救いを求めて聴いてみた。

ナイン・ホーセスや高木正勝の作品は聴いたことがあったが、後は初めてのものが多い。あっ、坂本龍一との『World Citizen』も持ってましたね。

 

この『World Citizen』はまだポップな方で、全体的にはやはり前衛志向が強い。勿論ソロ作までとはいかないので、ギリギリポップスの体裁を保ってはいるが、やはり凡人の辿り着けない未踏の地へ行ってしまう音楽。このヒリヒリした感覚が、今この不景気の辛い時代にはちょっと辛い。

YMOも歳をとって落ち着いていく中、デヴィッド・シルヴィアンのこの挑戦的姿勢は一体何なのだろう。と思って聴いていると、やっぱりボーカルなんだろうな、と思う。この作品では前衛性が半歩引いた形となっているが、それでもボーカルの音は前へ出てきている。比較的バックの演奏に合わせて歌っていたりもするので少し安心感があるが、この声がきっと本質なんだろう。そこを究極的に突き詰めて研ぎすますのが最近のソロ作なんだろうな。

でも、「そこまでしなくていいよ」と言いたい。この声の持っている優しさは器楽とともに奏でるポップスでも充分伝わるし、そこまでストイックにならなくとも音楽はいいんだ。

等と勝手なことを書いてみましたが、綺麗な曲の多い、いいアルバムです。