ビョーク『Utopia』

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坂本龍一も絶賛していたビョークの新作。やっと聴けました。離婚以後に作った前作が重くて、かつ前々作も含めて最近は遠ざかっていたので、久々に聴く作品となります。

とにかくビョークの場合は作品を追うごとに重厚でシリアスになっていってしまって、最早ポップミュージックの域にはない孤高のアーティスト、といった趣が強かったんですが、この作品では一転、明るく希望に満ちた内容になっているという話でしたし、実際何曲か聴いた印象も昔のきらびやかな頃の質感を想起させる内容だったので、若干躊躇した上で手を伸ばした次第です。

内容はというと、確かにハープやフルート、鳥の鳴き声、駆け巡るビート、そして輪唱のように絡まるボーカル、といった要素が耳を捉えます。ある意味、ボーカル主体で主たる旋律もなく歌い進めていくスタイルはデヴィッド・シルヴィアンにも似ているかもしれません。

とはいえ、荘厳な雰囲気の重い曲も何曲かあって、相変わらず暗い。ジャケットも不気味、ということで思ったほどには弾けていないなあ、という印象でした。ひとつの映画を観ているような、そんな荘厳さが伝わってくる、しかしながら以前よりは明るくなった作品です。