デヴィッド・シルヴィアン『Live In London '88』disc 1

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88年のデヴィッド・シルヴィアンのライブ。『Secrets of The Beehive』発表後に行われたソロでは初めてのツアーからの音源で、内容は素晴らしいですね。

 

デヴィッド・シルヴィアンはこの頃にはすでにビジュアル系から見た目は脱していて、それが旧来の女性ファンを突き放していく要因になっていたと思います。これで音楽性のみで判断する素養が整ってきた。

 

このパブリック・イメージと音楽性とのギャップには小山田圭吾も苦しめられてきたんだと思います。それがフリッパーズ・ギターでの黄色い歓声からの脱却を図るイメージ戦略として歪んだ方向へ行ってしまった。

 

デヴィッド・シルヴィアンの場合はそれを様々なミュージシャンとのコラボレーションで解消しようとしていました。それがホルガー・シューカイやロバート・フリップといった人達との活動で表現されていて、最早美しく華麗な世界とは訣別するんだという覚悟が、自然な形でオーガニックなビジュアルに現れてきていた。それはとても歓迎すべき出来事だったと思っています。

 

ライブの冒頭が『Alchemy』からの「Words of Sharman」だというのがまず聴き手を突き放していて痛快ですし、その後の演奏も渋くてとても良い。選曲も当時のベスト、とまではいきませんが、自分としては好きな曲を選んでくれているので非常に満足度が高いライブです。

 

ティーヴ・ジャンセンやリチャード・バルビエリも参加していて、この3年後にはレイン・トゥリー・クロウに繋がっていく訳ですが、それよりも82年のジャパンの解散ライブからたった5年程度でここまで変わっているところが凄いと思います。