73年の解散コンサート。久々に聴きましたが、演奏が非常にいいですね。はっぴいえんどはスタジオ中心のグループでライブは今ひとつ、という評判があったようなんですが、ここで聴ける艶っぽい演奏を聴くと、そうした定説が偽りであったことを知ることになると思います。
このコンサートは解散記念コンサートと銘打ってはいますが、実際には大滝詠一の75年からスタートするナイアガラ・レーベルの萌芽があり、細野晴臣の始動したキャラメル・ママの演奏があり、松本隆の初期活動として立ち上がったムーンライダースの演奏があり、といったオムニバス形式の内容となっています。
全ての演奏が収録されている訳ではないので実態が分かりづらいですが、実質解散状態にあったはっぴいえんどを再集結させて興行を催すには次の展開へのスコープが必要だった。そこに集結したのはシュガーベイブやココナツ・バンク、そしてまだ形を成していないムーンライダーズといった面々。この辺りが表に出てくるのは75年から76年あたりまで待たなければいけません。しかしスタート地点は73年の9月21日だった。はっぴいえんどの終わりは次の世代の始まりでもあった訳です。
そうした意味合いが込められているイベントではあれ、はっぴいえんど自体の演奏も非常に聴きごたえがある、というベーシックな事実がこの作品を価値あるものにしていると改めて気づいた次第です。