はっぴいえんど『THE HAPPY END』

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85年のはっぴいえんど再結成ライブは「ALL TOGETHER NOW」というイベントの一環として行われました。

 

冒頭の大滝詠一の「はっぴいえんどです」の一言で男性2名が失神して倒れた、という話は象徴的です。この頃にして既に生ける伝説となっていたバンドなので、再結成自体夢のような出来事でした。しかし、もう既にそこにはかつての面影はなかった。

 

電子音をベースにしたテクノ系のアレンジがやはり違和感満載だったので、恐らく観ていた旧来のファンは本当にはっぴいえんどが終わったことを痛感したのではないでしょうか。そして、実ははっぴいえんどの再結成は、こうしたバンドとしてのものではなく、作家チームとして81年に成し遂げられていた。

 

それは細野晴臣松本隆のタッグによる「ハイスクール・ララバイ」であり、大滝詠一松本隆による『ロング・バケイション』であった。ここに来て日本の歌謡界、ポップスのフィールドではっぴいえんどのメンバーが作家としてヒットを飛ばしたことが、形を変えたはっぴいえんどの再結成だった。従って、こうしたリアルな形での再結成はフォーマットを変えるしか手が無かったとも言えます。

 

確か、初期の段階では大滝詠一の案による多数のギター奏者による演奏も検討されていたはずですので、仮にそういった形でステージが行われていたら、また違った印象を残したのかもしれません。しかし、実際には当時の細野晴臣のノンスタンダードレーベルのミュージシャンがバックコーラスで参加する形で幕を閉じた。ここはやはりテクノの領域に音を納めたということになります。