山下達郎『SPACY』


77年リリースの2nd。これはもう冒頭の「LOVE SPACE」で決まりでしょう。この多幸感には敵いません。

 

何に近いかと思ったらシュガーベイブでした。『SONGS』は「SHOW」で幕を開けますが、あの圧倒的な多幸感は全てを巻き取ってしまう。そしてそこにある感覚がこの作品にも存在します。

 

この『SPACY』というアルバムが初期の作品の中で人気があるという理由がなんとなく分かったのは、その後に続く楽曲群がどこかまだ手作り感が残っていて、やはりシュガーベイブのような若さを感じさせるからではないでしょうか。

 

1stの『サーカス・タウン』はニューヨークに出向いて録音した気合い漲る作品でしたが、この2ndはそこで得たものを持ち帰ってご本人がその成果を反映させたドメスティックな作品。そこにまだ解散から1年しか経っていないバンドの残り香が漂っている。勿論いい意味で。これを「B面は地味」と自己分析されていますが、いやいやどうしてとても素敵で青春感が漂っていると思います。ここにみんな惹かれるんじゃないかなあ。そんな風に感じました。