細野晴臣『フィルハーモニー』

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82年リリースの細野晴臣のソロ作品も砂原良徳の手によってリマスターされました。『はらいそ』と異なり、YMO活動真っ只中のソロアルバムですので印象に強く残っていますが、今回最大のチェック・ポイントにしていたのはゴースト音の処理でした。

 

先日聴いた『テクノドン』で冒頭の「Be A Superman」でのウィリアム・バロウズの声、この背後で鳴っていたゴースト音は結局今回のリマスターでは残存していました。それもあって少しがっかりしたんですが、今回の『フィルハーモニー』ではバッチリ!若干残っているものの、ほぼないと言って良いと思います。具体的には冒頭の「ピクニック」や「リンボ」「フィルハーモニー」などで背後に鳴っていたゴースト音は丁寧に処理されています。流石!

 

若干気になったのは大好きな「LDK」が音が綺麗過ぎて逆にリミッターでバシバシに迫ってくるカッコよさを打ち消してしまっていること。これは少し残念でした。まあしかしこれは贅沢というものかな。

 

ボーナストラックの「夢見る約束」は何故か当時購入時にソノシートを入手できていなかったんですが、今回初めて冒頭の変なコメントを耳にしました。こんなものがあったんですね。楽曲はボックスなどで聴いていたので初めてではないですが、このコメントはしかし・・。

 

全体的にミニマル・ミュージックによる覚醒感が半端ないアルバムで、聴いているだけでトリップしてしまいそうな魅力を携えている作品です。「ホタル」や「プラトニック」なんかは本当に極上の覚醒感で、それらを「LDK」や「スポーツマン」みたいなポップな楽曲が包み込むように配置されている。そしてリズム感がバッチリという奇跡的な、即興的な作品です。発売後40年近く経っていますが、常に頭のどこかに残り香がある。それが今回きちんと整理されましたので、めでたいなあ、贅沢だなあ、と思います。