40周年リマスター再発の第2弾、『増殖』も合わせてリリースされました。こちらはスネークマンショーのコントを挟み込んだ変則的な構成ですが、当時まずこうした作品形態自体が新しかったし、最初は何が起こっているのかよく分からなかった。しかしながら圧倒的にコントは面白かったわけです。
ミュージシャンがお笑いとコラボレーションしていくという流れももしかしたらここから始まっているのかもしれません。クレイジーキャッツやドリフターズのようにミュージシャン自身がお笑いをやるのではなく、それぞれの専門家が一瞬の邂逅をなす。YMOの場合、その流れは今年放映された細野晴臣のイエロー・マジック・ショーまで続いています。ただ、スネークマンショーの場合は、コントというよりもコンセプトが音楽紹介の方にあった。そのためにミュージシャンと相性が良かったと言える可能性もありますね。
音楽的にいうと、このアルバムは最早テクノではない。ロックやソウルやスカであって、ここでミュージシャンシップが存分に発揮されてしまった。最早匿名性は消えていってしまったとも考えられます。度重なるライブで鍛え上げた演奏の筋肉質な感覚が自ずと楽曲ににじみ出ています。『パブリック・プレッシャー』の続編を断って制作された作品は、環境要因から比較的ライブバンド寄りの表現に帰結した、とも言えそうです。
リマスターの音の方ですが、結構厚みが出ています。音がよく鳴っていて、広がり、奥行きがある。聴いていて立体的です。気のせいかと思って2003年のリマスター版を聴いてみましたが全然違いました。平面的に聴こえるんですね。これはやっぱり買い直していくべきでしょう、今後とも。