高橋ユキヒロ『音楽殺人』

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80年リリースの2ndのリマスター再発。今回の一連の高橋幸宏アーリー・イヤーズ再発プロジェクトはYMO40周年同様、ソニーの頑張りが見られてとても良いですね。非常に素晴らしいプロモーションだと思います。やはり大きいのは砂原良徳ソニーに所属していたこと。これはラッキーでした。

 

今回のリマスタリング砂原良徳ですが、音が非常にいいです。『音楽殺人』は何となく音がペナペナな印象があってあまり好きになれずにいたんですが、今回のリマスターで何度も聴きたいと思うようになりました。

 

後年、高橋幸宏が本作からの楽曲も再演するようになったことも再評価を後押ししていますが、今聴くと『Life Anew』でアプローチしたご自身のルーツである60年代ポップスの香りが本作にも濃厚に漂っていて、かつ音がテクノポップ全盛時の人力演奏。ここは時期的にYMOの『増殖』にも近いこともあって、ロック、ポップスのテイストが強めに出ているような気がします。

 

「I-Kasu」なんてスカパラみたいですし、そもそもインスト曲がかなり多かった、というのも改めて気付かされた点です。細野晴臣高橋幸宏のインストには一目置いていた。でもやっぱり本作で一番いいのは冒頭の「School of Thought」でしょう。作曲は坂本龍一ですし。でも「Blue Color Worker」も好きだったなあ、当時。

 

高橋幸宏の作品は分かりやすさが命。時代の空気を的確に反映していたからこそ、当時のファンには強く印象を残した。加えて沢山のミュージシャンが今もその活動を支えている。お人柄もあるんでしょうが、分かりやすさの影に隠れた強靭な運動神経によるドラミングと洒脱なセンスに多くの人がやられてしまうんだと思います。