高橋幸宏『Mr. YT』


お陰様で今回の再発で定期的に高橋幸宏さんを追悼できる日々が続いています。3部作を中心にこれまでなかったくらいEMIイヤーズの作品を聴いてるんじゃないかなあ。改めて聴くと本当にいい曲が多くてびっくりしています。この魅力に気付くのが遅かった・・。

 

本作は94年のリリース。間にYMO再結成という狂騒があって、それを踏まえた変化があるかというと、デジタルの押しが強い音になっている点に若干の変化が見受けられます。前作がカントリー・テクノだったので、そこからは結構印象が異なる。

 

とはいえ日本語ポップス路線、というよりAORのような趣の大人の音楽といった方向性は変わらず、急に路線変更が行われるわけではない。相変わらず鈴木慶一とのコラボレーションも続いていて、90年代のビートニクスの変装形は継続中です。スティーヴ・ジャンセンとの共作も入っていますね。

 

ジャッケットがファッション雑誌のような感じなので、高橋幸宏さんという人は実は音楽とは別のところにモチベーションがあった音楽家だったのではないか、あるいは複数の回路を持ったクリエイティヴを持続していた方なのでは、といった感触を持ち始めているところです。