カーネーション『booby』(Deluxe Edition) disc 1


97年リリースの8作目。ここでカーネーションはまた一歩後ろに下がったような印象がありました。

 

前作の『GIRL FRIEND ARMY』があまりに良かったので、果たしてどうなるんだろう、と思って聴きましたが、ちょっとマイナーになっていた。これは前作での強力なプロモーションの結果、思った程には売上が伸びなかったことによる反動と捉えた方が良さそうです。

 

しかしながら、冒頭の「New Morning」は素晴らしい曲。この曲の魅力に気付くのに四半世紀くらいかかりました。最近は通勤時の会社までの道のりで聴くことが多くて、この曲を聴くと気分が高揚します。本当に元気が出るカッコいい曲です。

 

更に「Sweet Baby」という曲。これも最高で、本当に切なくていい曲です。この2曲を聴くために本作は存在しているといっても過言ではないくらいです。しかしこの魅力に気付くのに多くの時間を要した。その理由は全体に漂う諦念とオルタナ感。この後に続く『Parakeet & Ghost』『LOVE SCULPTURE』といった作品群につながる雰囲気を持っています。

 

ソウルに裏打ちされた陽のあたる大通りを歩いていたカーネーションはもういない。90年代中盤の一瞬の夢のような瞬間は幻のように消えて、カーネーションは本来の立ち位置に戻ってきた。でもそれで良かったんだと思います。そのお陰で分解せずに済んだ、というより大変な苦労をこの後も重ねているんですが、何とか持ち堪えたのは活動を背丈に合わせたからなのではないかと感じています。