高橋幸宏『A DAY IN THE NEXT LIFE』


月一回、高橋幸宏のリマスター再発が行われていることで、定期的に追悼できるというのは非常にありがたいことで、亡くなってからはや一年が過ぎても、その作品に丁寧に触れることができる。購入することを決断してとても良かったと思っています。

 

この作品は俗にいう「心痛3部作」のうちの2作目で、来世がテーマだそうですが、先月も書いた通り、EMI時代の高橋幸宏は一貫してビートニクスの変奏形を形作っていた。ここでも後半に鈴木慶一との作品「X'MAS DAY IN THE NEXT LIFE」と「神を忘れて、祝へよX'mas time」が収録されています。どちらもクリスマスの曲なので再発も12月だったら良かったのになあ。

 

心痛かどうかは別として、この3部作はとても完成度が高い。楽曲が粒揃いだし、メンタルの状態と反比例してとても快調な作品群だと思います。当初EMI作品をJ-Pop接近遭遇作品として回避していた頃には想像がつかなかったくらいの耳への残り方をしています。曲がいいんだな、単純に。

 

リズムについては本作に限らず何となくお祭りや音頭みたいな瞬間があって、意図せず日本的になっているような気がします。

 

91年リリース。自分が社会人になった年ですが、だからということもなく90年代から今まで一直線で社会や文化は変わっていないように思います。この不変性が顕著になるのは世紀が変わってからですが、ディケイドの特徴として90年代も既に進化は止まっていたんじゃないかなあ。