YMO『ノイエ・タンツ』

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40周年を祝うYMOの第一弾リリースは81年に焦点を絞ったベスト盤でした。テイ・トウワ選曲、砂原良徳リマスターという正統フォロワーによる完璧な布陣です。

まずソロの楽曲を選んでいるのがいいですね。各々1曲ずつですが見事な判断だと思います。その上で聴いた感触は高橋幸宏色が強い、ということ。元々バンドとして成り立つためには触媒人材が必要で、かつライブも引っ張っている。その上で、時代にピントを合わせていくセンスを持ち合わせていた人ですので、バンドとしてYMOを捉えた時には必然的に浮上してくるし、実際『BGM』の幕開けも「バレエ」な訳で。

音的には左程驚くような感覚はありませんでした。ハッとさせられたのは「シムーン」くらいかな。実際は音源が古いからそう思うだけかもしれません。ただ、全体的に硬い音のようには聴こえました。これがまたアナログだったら違うのかもしれませんが。

「バレエ」の後は「音楽の計画」と耳が慣らされている中での意表をついた「ライオット・イン・ラゴス」。石野卓球テイ・トウワへの第一声は「カモフラージュは入れるんだよね」だったという話。そして『ニウロマンティック』からの「Glass」と、まさに『サラヴァ』から40周年の高橋幸宏三昧。

YMOのベスト盤の印象は坂本龍一監修の『UCYMO』だったので、この81年ターゲットの幸宏色の強さには妙な納得感を覚えました。『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』から1曲も入れないという英断も清々しいと思います。